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【2026 年 8 月】ガソリン価格の今後の見通し・予測

ガソナビ編集部 | 公開 2026年8月21日

ドバイ原油は 7 月末に 96.78 ドルを付けたあと、8 月中旬には 83.55 ドルまで下げ、月末にかけて 93.12 ドルへ戻しました。ひと月で 13 ドル下げて 10 ドル戻す、かなり荒い値動きです(いずれも forecast モデルの取得値)。同じ期間、レギュラー全国平均が動いた幅は 0.3 円 でした。この極端な鈍さが、8 月相場を理解する出発点になります。

原油は 13 ドル動き、店頭は 0.3 円しか動かなかった

まず、何がどれだけ動いたのかを並べます。

ドバイ原油USD/JPY補助単価(週初時点)レギュラー全国平均
7/27 週96.78 ドル163.82 円170.1 円
8/3 週90.12 ドル160.24 円170.1 円
8/10 週83.55 ドル158.34 円19.0 円/L170.1 円
8/17 週88.52 ドル159.01 円17.3 円/L169.8 円
8/24 週93.12 ドル158.76 円26.0 円/L

原油と為替は forecast モデルの取得値、補助単価は資源エネルギー庁の週次公表値、全国平均は同庁の給油所小売価格調査による公表値です。

注目すべきは為替です。7 月末の 163.82 円から 8 月末の 158.76 円へ、ひと月で 5 円の円高 に振れています。7 月の記事では円安が原油安を打ち消す構図を書きましたが、8 月はその力が逆向きに働きました。原油は月末にかけて上昇、為替は円高、という相反する材料が同時に出たわけです。それでも店頭は 0.3 円しか動いていません。原油と為替の綱引きだけでは、この動かなさは説明できません。

26.0 円の補助が価格を 170 円に固定している

答えは補助金の設計にあります。現行の緊急的激変緩和措置は「1 リットルあたり◯円引き」という定額方式ではなく、基準価格 170 円を超えた分を全額補助する変動型 です。卸価格が上がれば補助単価が自動的に膨らみ、下がれば縮む。つまり補助単価そのものが、店頭価格を 170 円に留めるための調整弁として毎週動いています。

数字で確かめられます。8 月 17 日時点の全国平均は 169.8 円で、同庁が示す補助なしの試算価格は 187.1 円。その差は 17.3 円で、8 月 13-19 日週の支給単価 17.3 円/L に一致します。翌週の 8 月 20-26 日には単価が 26.0 円/L(変動分 20.0 円+調整単価 6.0 円)へ、前週比 8.7 円の拡大となりました。原油と卸価格が上がったぶん、補助が機械的に厚くなった結果です。

この構造では、原油がどれだけ振れても、財源が続く限り店頭は 170 円前後から動きません。7 月に「補助が緩衝材として働いた」と書きましたが、8 月の水準まで来ると緩衝材というより価格の固定装置に近い働き方をしています。補助単価の週次の増減については 補助金の現状記事 で追っています。

9 月に基準価格が 175 円へ動く案

そうなると、次に価格を動かすのは相場ではなく制度です。2026 年 7 月 21 日、共同通信は政府内で基準価格をレギュラー 1 リットルあたり 170 円程度から 9 月に 175 円へ見直す案 が浮上したと報じました。報道によれば、8 月までは現行の補助水準を維持し、夏休みシーズンが終わったあとに縮小する計画で、財源は 10 月分までとして予備費から数千億円を追加投入するとされています。

含意はそのままです。補助が効き始める水準が 5 円上がれば、店頭の下限も 5 円切り上がります。原油が今の水準で動かなくても、制度変更だけで 175 円前後へ移行する、ということです。ただし 8 月 21 日時点でこれは決定事項ではなく、米国とイランの情勢次第で水準も時期も慎重に検討される、という報じられ方をしています。

169 円・175 円・180 円 — 9 月の分岐

forecast モデルの 8 月 24 日週の見通しは前週比 −0.1 円のほぼ横ばい。ここを起点に、9 月の振れ幅を制度の観点から 3 通りで見ておきます。

見直しが先送りされれば、補助が今の調整弁として働き続け、169〜170 円のまま です。9 月に基準価格が 175 円へ改定されれば、卸価格を通じて数週間かけて店頭に反映され、174〜176 円 の水準へ移ります。さらに中東情勢が再燃してドバイが 100 ドルを超え、補助の拡大が財源の制約で追いつかなくなれば、超過分が店頭に出て 178〜180 円 も視野に入ります。

いずれの筋書きでも、9 月の価格を決めるのは原油の絶対水準ではなく、補助金の設計と財源です。なお 5〜7 月の原油の動きが店頭に届くまでには 1〜2 ヶ月のタイムラグがありますが、現在はそのタイムラグ自体が補助金に吸収されて見えなくなっています(仕組みは 原油とガソリンのタイムラグ記事)。制度の恒久的な代替案として議論されるトリガー条項との違いは トリガー条項の解説 にまとめています。

全国平均が動かない月ほど、給油所選びが効く

全国平均が 170 円で固定されていると、節約の余地まで消えたように見えます。実際には逆です。平均が動かないぶん、残っている価格差は給油所ごとの差だけになります。

ガソナビ集計(2026年8月20日時点・レギュラー)では、最安が埼玉県と愛知県の 162.7 円、次いで宮城県 163.4 円。最高は長崎県 178.7 円、沖縄県 177.5 円、鹿児島県 177.4 円で、最安と最高で 16.0 円 の開きがあります。50L 入れれば 1 回で約 800 円の差です。

さらに大きいのが県内の差です。47 都道府県・12,867 件のレギュラー価格を県ごとに見ると、安い方から 1 割の水準と高い方から 1 割の水準の差は 中央値で 13.0 円。和歌山県では 24.1 円、京都府では 22.0 円に達します。つまり全国平均が 1 銭も動かない月でも、同じ県内で店を選び直すだけで 13 円前後の幅が残っているということです。

高速道路を使う予定があるなら差はもっと開きます。同じ集計で高速 SA・PA の平均は 199.2 円、一般道は 164.8 円で、34.4 円 の開きがあります(SA・PA は 171 件、一般道は 12,623 件)。9 月の制度変更で 5 円上がるかどうかを気にする前に、まずこちらの差を潰す方が効きます。自分の県の相場は 都道府県別価格ページ で日次更新しています。

よくある質問

Q. 原油があれだけ動いたのに、なぜ 8 月のガソリン価格は変わらなかったのですか?

補助金が変動型だからです。燃料油価格激変緩和補助金は「基準価格 170 円を超えた分を全額補助する」設計で、卸価格が上がれば補助単価が自動的に膨らみ、下がれば縮みます。8 月の支給単価は 19.0 円/L(6-12 日)、17.3 円/L(13-19 日)、26.0 円/L(20-26 日)と激しく動きましたが、その増減が原油と為替の振れをそのまま吸収したため、店頭は 170 円前後に張り付いたままでした。実質的に価格が 170 円に固定されている状態です。

Q. 9 月から基準価格が 175 円になるというのは本当ですか?

2026 年 7 月 21 日に共同通信が報じた政府内の案で、8 月 21 日時点ではまだ決定していません。報道によれば、8 月までは現在の補助水準を維持し、夏休みシーズンが終わったあとに縮小する計画で、財源としては予備費から数千億円を追加投入する方向です。基準価格が 170 円から 175 円に上がれば、補助が効き始める水準が 5 円上がるため、店頭価格も同程度切り上がることになります。

Q. 補助金がなかったら、今のガソリンは何円ですか?

資源エネルギー庁の試算では、8 月 17 日時点の補助なし価格は 187.1 円/L です。同じ時点の実際の全国平均は 169.8 円なので、差は 17.3 円。これは 8 月 13-19 日週の支給単価 17.3 円/L とちょうど一致します。8 月 20 日からは単価が 26.0 円/L に拡大したため、その週の補助なし価格はおよそ 196 円の水準に相当します。

Q. 9 月のガソリン価格は上がりますか、下がりますか?

forecast モデルの 8 月 24 日週の見通しは前週比 −0.1 円のほぼ横ばいです。ただし 9 月は相場より制度の影響が大きくなります。基準価格が 175 円に見直されれば店頭は数週間かけて 5 円程度切り上がり、見直しが先送りされれば 170 円前後が続く、という制度主導の分岐になります。

Q. 全国平均が動かない月に、給油代を下げる方法はありますか?

あります。全国平均が固定されていても、給油所ごとの価格差は残っているからです。ガソナビ集計(2026年8月20日時点・レギュラー)では最安の埼玉県・愛知県が 162.7 円、最高の長崎県が 178.7 円で 16.0 円の開きがあり、さらに同じ県の中でも安い方から 1 割の店と高い方から 1 割の店で中央値 13.0 円違います。平均を見るより、走るルート上の実勢価格を比べる方が節約幅は大きくなります。

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データソース: 経済産業省資源エネルギー庁「石油製品小売市況調査」(週次)、 ガソナビ独自の補正済み平均価格(全国 約 30,000 店舗を毎日集計)。 集計・補正の方法は価格データの考え方で公開しています。