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ガソリン価格はどう決まる?元売り・卸・小売の仕組みをわかりやすく解説

ガソナビ編集部 | 公開 2026年4月30日 更新 2026年6月10日

資源エネルギー庁の週次調査では、レギュラーガソリンの全国平均は 170.0 円でした(2026 年 6 月 9 日時点)。一方、ガソナビが高速道路の SA・PA を除く全国の一般道スタンドの店頭価格を単純平均すると、164.1 円になります(ガソナビ集計、2026 年 6 月 10 日時点)。どちらかが間違っているわけではありません。母集団も計算方法も違う、2 つの「平均」です。この 6 円の開きがなぜ生まれるのかを順番にたどると、ガソリン 1L の値段がどう組み立てられているかが一通り見えてきます。

出発点は 1 バレルの原油

日本の原油輸入の約 95% は中東からで、価格指標にはドバイ原油が使われます。原油は 1 バレル=約 159L 単位のドル建てで取引されるため、仮に 1 バレル 90 ドル・1 ドル 150 円なら、円換算で 1L あたり約 85 円。ここに精製と国内輸送のコストがおおむね 5〜10 円乗ります。原油高と円安はどちらも同じ方向(値上がり)に効く、というのが第一の構造です。

ただし、原油が動いた瞬間に店頭価格が動くわけではありません。元売りには調達済みの原油や精製済み製品の在庫があり、卸価格への反映には 2〜4 週間、そこから店頭への反映にはさらに 1〜2 週間かかるのが通例です。「中東の緊張のニュースが出たのに、近所のスタンドはまだ安い」という現象は、このタイムラグで説明できます。

税金は 2025 年末を境に半分近くまで減った

長らく「ガソリン 1L のうち約 56 円は税金」と説明されてきましたが、この前提は最近書き換わりました。揮発油税と地方揮発油税のうち暫定税率分の 25.1 円が 2025 年 12 月 31 日に廃止され、本則の 28.7 円だけが残ったためです。

税目廃止前(〜2025 年 12 月)現在(2026 年 6 月)
揮発油税 + 地方揮発油税53.8 円28.7 円
石油石炭税2.04 円2.04 円
固定税の合計55.84 円30.74 円

現在の固定税は約 31 円です。ここに本体価格と合わせた全体へ消費税 10% がかかるため、「税金に消費税が乗る」いわゆる Tax on Tax の構造自体は残っています。店頭 170 円なら消費税分は約 15 円で、税金の合計は約 46 円。価格の 27% 程度にあたります。

「25 円も減税されたのに、店頭はなぜ 25 円下がらなかったのか」と思った方は鋭い読みです。減税と同時に燃料油価格激変緩和補助金が縮小され、消費者価格ベースではほぼ相殺される設計でした。この経緯は暫定税率廃止の検証記事にまとめています。補助金は現在も続いており、直近では 6 月 4 日〜10 日適用分で 33.3 円/L。5 月中旬の 42.6 円をピークに 3 週連続で縮小しています(補助単価縮小の速報)。つまり 2026 年のガソリン価格は、原油よりも「税制と補助金」という政策の手の中で動いている部分がかなり大きい、というのが現在地です。

価格は流通の 3 段階で決まり直す

原油から店頭までの流通は、元売り(ENEOS・出光興産・コスモ石油など)→ 特約店・販売会社 → 小売スタンド、という 3 段階です。元売りの卸価格は週次で改定され、これが翌週以降の店頭価格のベースになります。それぞれの段階で運営コストと利益が上乗せされて、最終的な店頭価格に到達します。

ここで知っておきたいのは、看板と運営は別物だという点です。ENEOS の看板を掲げたスタンドの多くは、地域の中小事業者が運営しています。仕入れ条件も、人件費や土地代といった運営コストも、隣に立つ同じ看板の店と同じとは限りません。「同じブランドなのに 100m 先の店と 5 円違う」のは異常でも何でもなく、流通構造から見ればむしろ自然な姿です。

最後の数円〜十数円は「ご近所の競争」が決める

原油・税金・補助金は、全国のスタンドにほぼ一律に効きます。それでも店頭価格がバラバラなのは、最後の値付けが地場の競争環境で行われるからです。

ガソナビ集計(2026 年 6 月 10 日時点)では、同じ都道府県内の安い店(下位 10%)と高い店(上位 10%)の価格差は、47 都道府県の中央値で 13.2 円/L ありました。最も差が大きい和歌山県では 28.0 円です。急騰局面を除けば、全国平均が 1 週間で動く幅はせいぜい 1〜2 円程度ですから、「どの店で入れるか」という選択は、相場の上げ下げを待つことの 10 倍近い振れ幅を持っていることになります。安値側を作っているのは郊外の大型セルフや激戦区の価格競争、高値側を作っているのは競合の少なさや小規模経営のコスト構造です。

「平均 170 円」と「平均 164 円」の答え合わせ

冒頭の 2 つの平均に戻ります。資源エネルギー庁の調査は対象店舗を固定したサンプル調査です。ガソナビの単純平均は、価格を確認できた一般道の全スタンドを 1 店 1 票で数えたものです。激戦区の安値セルフも、山あいの小さなフルサービス店も同じ重みで入るため、母集団の構成しだいで平均は数円単位でずれます。どちらが正しいかではなく、測っているものが違う。これが答えです。ガソナビの集計と補正の作り方は編集方針で公開しています。

そして実用上は、全国平均そのものより「自分の生活圏の価格分布のどこで給油するか」の方がはるかに財布に効きます。ガソナビアプリは地図上で各スタンドの価格と全国平均との差を表示するので、「平均より何円安い店か」がひと目で分かります。平均を知ることより、平均より安い店を知ること。それが価格の仕組みを学んだあとの、いちばん実践的な使い道です。

よくある質問

Q. ガソリン 1L のうち、税金はいくらですか?

2026 年 6 月時点で、固定の税金は揮発油税 + 地方揮発油税の本則 28.7 円と石油石炭税 2.04 円の合計約 31 円です(暫定税率 25.1 円は 2025 年 12 月 31 日に廃止)。店頭価格には全体に消費税 10% もかかるため、1L 170 円のガソリンなら税金の合計は約 46 円になります。

Q. 原油価格が上がってもすぐにガソリンが値上がりしないのはなぜ?

元売りが保有する調達済みの原油や精製済み製品の在庫があるため、原油価格の変動が卸価格に反映されるまで 2〜4 週間かかります。卸価格から店頭価格への反映にはさらに 1〜2 週間かかるのが一般的です。

Q. なぜ近所のスタンドでも価格が違うのですか?

看板が同じでも運営会社・仕入れ条件・運営コスト・競合環境・会員価格が店舗ごとに違うためです。ガソナビ集計(2026 年 6 月 10 日時点)では、同じ都道府県内でも安い店と高い店の差は中央値 13.2 円/L、最大の和歌山県では 28.0 円ありました。

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データソース: 経済産業省資源エネルギー庁「石油製品小売市況調査」(週次)、 ガソナビ独自の補正済み平均価格(全国 約 30,000 店舗を毎日集計)。 集計・補正の方法は価格データの考え方で公開しています。